よくご質問をいただくのが、イベントにスピーカーを持ち込むのに、どのくらいのパワーのあるスピーカーを何台くらいあればよいのか?ということです。
実際にスピーカーの数を決めるときは、会場の様々な要因を考えますし、そのイベントの種類が、セミナーなのか、それともライブなのかによっても異なります。
例えばセミナー形式では、ゲストの皆様がしーんとなっている状況下で、プレゼンターの声を適切に届けるのに必要なスピーカー数を考えますし、パーティなど常にガヤガヤした状況下では、もっと大きな音が必要です。
これがライブものになった時も、弾き語りとロックでも異なってきますし、屋内なのか野外なのかでも全く異なります。
この辺を整理して、普段どのような目安で考えているのか、紹介いたします。
会場内で音に影響を与える要因
- 広さ
- 形
- 天井の高さ
- 壁・床の材質
まず、広さについては当然の事ながら、広い会場ではパワーのあるスピーカーが必要になりますし、狭い会場では少なくて済みます。 広さに加え、そこに集まるお客様の人数とのバランスも考えます。
ただし、毎回会場の隅々まで音が行き渡るようなフルプランに必ずしもする訳ではなく、なるべく最小の規模で抑えたいというお客様からのご要望もありますので、来場ゲストの皆様がどのあたりにいるのかを確認し、必要なスペースをカバーできるようなプランにしています。
次に形です。特に、長方形に細長い間取りの会場で、横長に使いたいときは注意します。
スピーカーは、本体から360℃周囲に向かって音が飛んでいく訳ではなく、方向が限られています(スピーカーの指向性)。
そのため、横長に広い会場の場合は、スピーカーを点々と配置することがあります。
天井の高さも、結構関係があります。天井が高い会場では、それだけ天井から跳ね返ってくる音が少なくなるため、音量が足りないとスカスカした感じに聞こえてしまいます。
その場合は、スピーカーの数を増やすか、天井に近い上の方から下に向かってスピーカーを設置したりします。
壁・床の材質もかなり影響を与えます。PA的には、残響音がなるべく残らないように気を使う訳なのですが、例えば壁がコンクリートだと、ものすごく音が反射してしまい、どうしようもないときもあります。
横浜パシフィコや幕張メッセなどは音が反射しやすいですね。
壁が、学校の音楽室のようになっている会場はPA的にはうれしい限りです。
スピーカーの出力について
スピーカーの仕様では、「許容入力:○○W」と書かれていますが、これはどこまでのパワーで出力ができるかという値を示しています(ここでは簡単に説明しています)。
ちなみに、弊社サウンドサイトで使っているスピーカーは、500~600Wくらいの出力があるものが多いです。
イベントシーンと出力の目安
ワット数の目安としては、屋内セミナーなどのトーク系では、お客様一人当たり=1~2W、音楽系ではお客様一人あたり=3~5Wでみています。そして、屋外においては、屋内の2倍以上のW数が目安になります。
イベントの具体的なシーンをスピーカー数の目安は、以下の表をご参照ください。
*あくまで目安です。
それだけではない!
これまでは、ステージもしくは正面になる場所から、ゲストの皆様へ適切な音量で音を届ける目安でスピーカー数を説明してきましたが、これだけではありません。
ステージがあったとして、そのステージ上でMCが話すとき、自分の声が聞こえていなければ、非常に話しづらいです。楽器の演奏者も同じで、自分が演奏している音、もしくは他のバンドメンバーの演奏が聞こえていなければ、演奏が合わせづらいです。そのため、自分の音を確認のために聞くために、モニタースピーカーも必要になります。
モニタースピーカーはステージの両サイドに立てることもありますし、バンド系の場合は、各プレイヤーの足元に置きます。
トータルで使用するスピーカーはこれらの分も追加になってきますので、毎回、イベントではどんなコンテンツをしたいかを確認し、考えています。
以上、お役に立ちましたでしょうか?
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