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チェックワンツー

ワンツーチェックって何?

私がマイクを手にして、まず発する言葉は、

「ヘイ ヘイ ヘイ…、チェック! ワンツー、ワンツー、ツッ!ツェー、チェッ、チェッ、ハロー、ロー ロー…、ハッ、ハッ! ヘイ ヘイ…」

です。

別に頭がおかしくなっている訳ではございません。言い方はそれぞれ差がありますが、PAさんなら必ず発する言葉です。皆さんも、ライブのセッティング中や、イベントの準備中に耳にしたことがあるのではないでしょうか?

この謎の呪文のような言葉は一体なぜ、このような言葉をしゃべる必要があるのか?なんの目的でやっているのか?

不思議に思っている方もいらっしゃるかと思いますので、今回は「ワンツーチェック」について説明します。

何をしているのか?

PAはスピーカーなどの機材の設営が終わったら、サウンドチェックに入ります。

予め機材がセッティングされている会場やライブ会場などは、回線のチェックなどをして機材の状況をまず把握した後に、サウンドチェックをします。

音が適切に、心地よく聞こえるようにするためには、スピーカーやマイクの位置の調整やEQ(イコライザー)という機器・機能を使って、音質をチューニングすることで、低い音から高い音まで均一に聞こえる状態に持っていきます。

また、適切な音量がでるようにするために、音を大きくしていっても問題がないか、あるいは余計な音の成分をカットしながら、大きな音がでるように音を「稼ぐ」作業をしています。

特にハウリングが起きないようにするために、どの音の成分が悪さをしているのか特定し、カットする作業を入念に行います。

マイクを使う人が変われば、その声の持ち主によってまたハウリングのポイントが変わってきますので、個別の調整も必要ですが、準備の段階では予めハウリングが起こりづらい状況を作っておきます。

この作業は毎回現場ごとに必要で、会場や、スピーカー、マイクなどの機材が変わると、チューニングも毎回変わってきます。

このチェックを行うために、実際に自分でマイクを使って声を出してみて確認するのですが、その時に使える万能の言葉が「チェックワンツ―」なのです。

なぜチェックワンツーと言うのか?

この「チェックワンツ―」という音には広く色々な周波数が含まれています。この言葉の順番に説明しますと、

「チェック」という部分4kHz~8kHz辺りの成分が含まれています。

そして「ワン」の部分は、は低い音で、周波数は100Hz〜200Hz辺りの成分が含まれています。

続いて「ツー」の部分は高い音で、周波数は2kHz〜8kHz辺りです。

ここから派生して、「ハッ、ハッ!」と勢いのある声を出して、突発的に大きな音が入ったときに音が割れないかをチェックしたり、「チェッ、チェッ」や「ツー、ツー」などを繰り返して、高くて固い印象の音が耳にうるさく聞こえないかをチェックします。

さらに「ヘイ、ヘイ、ヘイ…」「ロー、ロゥ…」などの声を、高さを変えながら発音し、高い音から低い音までを聴きながら、一通り音のバランスを取っていきます。

実際に音の成分をみてみよう!

それでは、ワンツーチェックをする時に発音する音には、どのような周波数が含まれているのか、実際に見てみましょう。

次の図は、マイクを使って私のワンツーチェックの声を録音たのです。ノンイコライザーで直録りして、スペクトラムアナライザーという機能で波形データにしたものです。

(参考)使用機器 マイク SHURE SM58、ソフト Steinberg Cubase

「チェック」の発音に含まれる周波数
「ワン」の発音に含まれる周波数
「ツー」の発音に含まれる周波数。実際には「つうぅぅぅ~」と長めに言っています。

その他の発音も見てみましょう!

勢いよく「ハッ!」
「ツッ!!」
「へぇ~い」
「はろぉぉ~う」

しつこくてスミマセン

ワンツーチェックは世界共通ですし、しっかりとサウンドチェックをするためにとても大切なことです。

PAさんは人によって言い方に差はありますので、違いを聴いてみるのも面白いかもしれませんね。淡々と発音するPAさんもいらっしゃいますし、語尾をかなりねちっこく発音するか方もいます。私はどちらかというと、少々粘り気がある方かもしれません。

ただ、、、このチェックは繰り返し繰り返し、ある程度の時間をかけて行いますので、しつこくてスミマセン!と思います。お客様に向かっているスピーカーのチェックから、モニター用のスピーカーの一つ一つまで行いますので、どうしても何度も繰り返してしまうのです。

それもすべて、良い音にするため、本番で成功をさせるためですので、ご容赦いただければと思います。